先日、10月1日は国際コーヒーの日。コーヒー豆の価格が安すぎることがコーヒー農家を苦しめている現状を周知し、適正な価格で売買するフェアトレードを促進させる目的で制定されたものです。
しかし、今年は例年と異なり、ある別の理由でコーヒー豆の価格が上昇しています。報道で目にした方もいらっしゃるのでは?
今回は、これからの日々のコーヒーライフに密接に関わる「コーヒー豆の価格急騰」について、前編・後編の二階建てで、できるだけわかりやすくお伝えしていこうと思います。
目次(前編)

コーヒーの値段はブラジルで決まる?
今回の騒動を理解するために、まずは「コーヒー豆の値段がどうやって決まっているのか」を知っておく必要があります。少し複雑なので、ひとつひとつ順を追って説明していきますよ。
さて、いきなりですがクイズです。
Q: コーヒーに携わる私たちのようなロースターは、ブラジルの気象状態や栽培収穫状況に常にアンテナを張っています。このブラジルのコーヒー事情、いわば一国の浮き沈みだけで、最近報道でも取り上げられるほどにコーヒー市場全体が揺れているのはなぜでしょうか?
答えは、ざっくりいえば「コーヒー豆の値段は、ブラジルの栽培収穫状況で決まるから」です。
ブラジルは、世界最大のコーヒー豆生産国。ゆえに、ブラジルコーヒー豆の出来が世界に与える影響はとても大きく、価格決定の重大な一因となっています。
このほかにも、価格に影響する要因はさまざまありますが、そちらは後編で詳しくお話ししたいと思います。

具体的に、コーヒー豆の価格はどうやって決まる?
最近では、オークションやダイレクトトレードなど、いろいろな方法で価格が決まるようになってきています。しかし、今でも多くのコーヒーは、C-Marketで決められた価格(C-Price)に順じて、生産者と商社の間で取引が行われています。
C-Marketとは?
C-Market(Coffee Commodity Market)とは、一言でいえば、「商品先物取引」でコーヒーを売買する市場のことです。
「商品先物取引」とは、金・原油・農作物などの商品(コモディティ)を、将来の決められた日時に、取引の時点で決められた価格で売買することを約束する取引です。
これらの商品は、その時期の天候や栽培・収穫環境などの条件次第で生産量が変わり、価格が日々変動します。将来にわたって、事前に確約された一定の価格で取引することで、価格変動のリスクを回避することができます。
こうして売買されるコーヒーが、いわゆる「コモディティコーヒー」です。

アラビカ種はニューヨーク、ロブスタ種はロンドンで
一般的にコーヒーショップなどで売られている、美味しくて高いアラビカ種はニューヨークの取引所で、缶コーヒーやインスタントコーヒーなどに使われる、そこそこの美味しさで安いロブスタ種はロンドンの取引所で価格が決められています。
こうして決まったコーヒー豆の価格はC-Priceと呼ばれ、コーヒー豆の国際相場となっています。前述のとおり、この価格を基準としてコーヒー豆が売買されていくため、とても重要な数値です。
こちらが、「ここ最近になって急上昇を見せている」ということなんです。
価格高騰、どれだけ?
いったいどれだけ価格が高騰しているのかが、気になるところ。
ニューヨーク取引所のアラビカ種先物価格をみてみましょう。
Trading Economicsによると、2020年11月の時点では、1ポンド(約454g)当たり1ドルでしたが、今年2021年10月11日現在では2.04ドルにまで高騰。過去1年間で2倍という、驚きの価格上昇を見せています。
では、どうしてこのような事態が起きているのか?続きは次回後編にて、3点にまとめて解説していきます。どうぞお楽しみに。
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