目次(後編)
先物価格高騰、何が起きている?
前編でお伝えしたように、今コーヒー豆の先物価格が以前の2倍にまで急騰しています。
今回後編では、どうしてこのような事態が起きているのか、その原因を大きく3つに分けて解説していきたいと思います。
原因1:気候変動
コーヒー豆が高騰した最大の理由は、世界最大のコーヒー生産国であるブラジルの環境問題です。
Yahoo!ニュースによると、2020年11月にブラジルは干ばつの被害に見舞われました。今年に入ってもブラジルの異常気象の影響はおさまることはなく、本来雨季であるはずの3・4月にも雨が降ることはなかったそうです。
6月末からは、さらに追い討ちをかけるように、ブラジル南部が歴史的な寒波に見舞われました。特にミナスジェライス州南部を中心とした有名なアラビカ種のコーヒー生産地に大きな被害が報告されています。
The Guardianによると、同様の霜害が40年前にパラナ州を襲った際、多くの生産者がミナスジェライス州に移らざるを得なかったそうです。この地域は、より赤道に近く気候が安定しており安全だと思われていただけに、今回の一件はとてもショッキングな出来事なんです。
また、霜害のこわいところは、コーヒーの木が死んでしまう可能性があるところ。コーヒーの葉は水分を多く含んでいるため凍結しやすく、茶色く変色したのち枯れてしまいます。古く成熟した木はなんとか生き残れるかもしれませんが、今の段階ではどの木が生き残っているかの判断が難しいそう。具体的な被害の大きさを把握するにはまだ時間を要するようです。
いずれにせよ、「100年ぶり」と言われる水不足に加え、寒波による霜害の影響でコーヒーの木や実がダメージを受けていることから、ブラジル当局は2021年のアラビカ種の収穫量は過去12年間で最も少なくなるだろうと予測しています。(livedoorNEWSより)
原因2:パンデミック
2つ目の原因は、新型コロナウイルスによる世界的な流行・パンデミックにあります。
新型コロナウイルスの影響から、船・コンテナ需要が急激に増え、世界的な船・コンテナ不足が蔓延化したことで、コーヒー豆の輸送が大幅に遅れています。また、船が出港したとしても、寄港地が増えており、航海日数が以前よりも多くなっていることも、遅延理由のひとつです。
取引元の情報によれば、コーヒー生産国からの出荷遅れが日常化しているこの現状は、早期に解決できないと言われており、しばらくこのような状態が続くものと思われるそうです。
一方、新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進み、世界ではレストランやカフェの営業が再開されるなど日常を取り戻しつつあります。さらに、年々世界のコーヒー消費量が増えてきており、米農務省によると2017年以来はじめて、今年は世界のコーヒー消費量が生産量を上回ると予想されています。(TradingEconomicsより)
こうした需要の上昇と供給の激減が、今回のコーヒー価格の上昇を引き起こしているんですね。

原因3:コロンビアの情勢不安
ブラジル、ベトナムにつぎ世界第3位のコーヒー生産国であるコロンビア。そんな同国の情勢不安が、コーヒー豆価格高騰の3つ目の原因です。
コロンビアでは、4月下旬に政府が打ち出した税制改革に反対し、抗議デモが行われました。この大規模な反政府運動の影響で、各地で道路が封鎖され、国内のコーヒー輸送が停滞。
さらには、コロンビアの主要港であるブエナベントゥラに繋がる道が封鎖され、国外への輸出も滞りました。
Yahoo!ニュースによると、現在ようやくこの封鎖は解除されましたが、この輸出の遅れを取り戻すには3ヶ月かかると言われています。
今後どうなる?
様々な要因が絡みあい、高騰しているコーヒーの価格。今後の動向は、それぞれの変動次第と言えます。
少し余談になりますが、ヨーロッパではアラビカ種の高値を嫌い、コーヒー会社の中でアラビカ種からロブスタ種への一部切り替えが進んでいるそうです。これにより、ロブスタ種の需要も増え価格が上昇、言い換えればコーヒー豆全般の価格が上がってきています。
また、ブラジルの収穫期は5月~8月とされており2021年の収穫はほぼ終わっているため、今回のブラジルの影響が実際に浮き彫りとなるのは、来シーズンの収穫のとき。お店で出回るコーヒーの価格が上昇し、被害を実感することになりそうです。

EARTHEN OVEN COFFEEでは、今のところ価格変更の予定はありませんが、今後の状況を鑑み、適宜対応していきたいと思っています。
最後になりますが、コーヒーに携わるものとして、少しでも多くのかたにこの現状をお伝えできればと思い、今回記事にしました。
おいしいコーヒーを飲み続けられる未来を願っています。
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